【2022年11月2日追記】ファストトラックは、VISIT JAPAN WEBに統合され、手続きが簡素化されました。詳細は下記の記事を参照してください。
【2022年3月7日追記】準備が間に合わず出遅れていた「成田国際空港」ですが、3月9日よりファストトラックの運用が開始されることになりました。
【2022年3月1日追記】厚生労働省は、当初関西国際空港で試験運用していた「ファストトラック」を、羽田空港・中部国際空港・福岡空港でも運用を開始する旨を発表しました。成田空港は準備が間に合いませんでした。
2022年2月7日、厚生労働省は日本帰国時の「検疫審査」手続きを簡素化するため、ファストトラックの試験運用を開始しました。現在、関西国際空港へ到着する帰国者・入国者のみ利用が可能になっています。日本の水際対策強化により、煩雑な手続きが求められる検疫審査ですが、ファストトラック導入により検疫審査のスピードアップが期待できます。厚生労働省の発表はこちらを参照してください。
目次
現在、帰国時に必要な書類と手続き一覧
- 「誓約書」・・・帰国便の機内で配られます。誓約書の詳細はこちらを参照してください。誓約書には日本国内で連絡を取ることができるメールアドレスと電話番号を記入する欄があります。検疫審査の途中段階で、報告したメールアドレスと電話番号に間違いがないかどうかの通信テストが申請者の面前で行われますので、正確な記入が求められます。
- 「検査証明書(陰性証明書)」・・・帰国便搭乗前72時間以内に取得した、厚労省指定の検査証明書を用意する必要があります。検査証明書の概要はこちらを参照してください。
- 「質問票」・・・WEB上で回答する形式になります。入国者情報⇒日本滞在情報⇒流行地域滞在情報⇒体調情報⇒フォローアップの順で質問に答えて行き、質問が完了するとQRコードが表示されます。概要はこちらを参照してください。
- 「専用アプリのインストール①」・・・入国者健康居所確認アプリ「MySOS」のインストール。氏名とパスポート番号・生年月日を入力して、登録者情報の入力を完了させます。ファストトラックの手続きに続き、帰国後の待機期間中はずっとこのアプリが、帰国者の健康状態と居所確認を行います。インストール手順はこちらを参照してください。
- 「専用アプリのインストール②」・・・「COCOA」のインストール。新型コロナウィルス感染症の感染者と接触した可能性について通知を受け取ることのできるアプリです。iPhoneはAppストアから、AndroidはPlayストアから「COCOA」を検索し、事前にアプリをダウンロードしてください。
ファストトラックの導入により簡素化される検疫審査
現在、到着空港では紙の書類やWEB上で登録した情報・インストールしたアプリ情報などを、検疫係員が帰国者・入国者の面前で細かくチェックしています。膨大な手間と時間をかけて、不備がないかどうかの確認作業を行っています。この作業を簡素化するために、ファストトラックが導入されます。厚労省・検疫所が業務委託する「入国者健康確認センター」が管理・運営するスマホアプリ「MySOS」にこれらの情報を集約し、デジタル上で一元管理することにより、確認作業を簡素化し検疫審査の時間短縮を目指します。
ただし、空港到着時の唾液採取による抗原検査はまだ継続しています。これが廃止にならない限り、本当の意味での検疫審査の時間短縮にはなりません。
MySOSアプリのインストール方法
ファストトラックを利用する際には、自身のスマートフォンに「MySOS」アプリをインストールする必要があります。過去に帰国などでMySOSをインストール済の方は、一旦古いMySOSアプリをアンインストールして、再度インストールし直す必要があります。インストールはダウンロード専用URLもしは専用QRコードを読み取って行ってください。少々複雑ですが、APPストアやPLAYストアで一般検索して表示される「MySOS」アプリはダウンロードしないでください。同じ「MySOS」ですが、検疫審査用のものとは仕様が異なります。
インストール手順や、インストール後の具体的な操作手順は、こちらのマニュアルを参照してください。役所の作ったマニュアルにしては、比較的分かり易い内容になっています。
MySOSアプリで登録可能な項目
MySOSアプリで登録可能な項目は以下の4項目になります。現在、ワクチン接種証明書の登録は必須項目ではないため、登録の必要はありません。3月以降、待機期間の短縮措置などが再定義される時に必要になるはずです。
- 質問票WEB
- 誓約書
- ワクチン接種証明書の登録
- 出国前72時間以内の検査証明書の登録
ファストトラック利用条件
ファストトラックを利用するためには、搭乗便’到着’予定時刻の16時間前までにMySOSアプリで事前登録を完了させる必要があります。質問票WEB画面での入力を済ませると、MySOSアプリの画面に締切時間が表示されます。締切時間までに登録を完了させてください。全ての必要事項を入力し、「審査完了」という黄色または緑色の画面が表示されれば登録は完了となります。
事前登録で一番大事な項目は「検査証明書」の登録になります。MySOS(空港検疫)では、誓約書の記載内容と検査証明書の信ぴょう性(偽造と虚偽申告の有無)を重点的に確認します。検疫係員に疑われないように、誤記入や添付ファイルの欠落など、登録に齟齬のないように注意してください。検査証明書の信ぴょう性が確認された段階で、審査完了へと手順は進んで行きます。日本到着前に検疫審査に必要な書類の登録が終了し、不備や不正がないことを確認することによって、到着空港での手続きが簡素化されます。到着予定時刻の16時間前とは、信ぴょう性を確認するために必要な時間と言えます。
ファストトラックについての「よくある質問」はこちらを参照してください。
デジタル化の陰に潜む縦割り行政の弊害
コロナ過で影に隠れていましたが、東京オリンピック開催に向けて、今まで「紙」主体だった日本のCIQ(税関・出入国管理・検疫)はデジタル化を進めていました。しかし、縦割り行政の弊害がCIQにも及んでいます。昨年12月、デジタル庁の肝いりで一足先にデジタル化を発表した「Visit Japan Webサービス」は、検疫質問票登録・検査証明書登録・税関申告登録・外国人入国登録などの機能を持っています。また、日本税関はこれとは別に「税関申告アプリ」を提供しています。少しずつ機能が重複していますが、これらを一本化する話はどこからも聞こえてきません。税関は財務省、出入国管理は法務省、空港検疫(ヒト)は厚生労働省が管轄しています。そこにデジタル庁が絡むことにより、利用者の利便性よりも、省庁間の縄張り争いが先立ってしまっているのが現状です。アプリやWEBサービスの乱立を避けて、可能な限りCIQに関しては登録先を一本化してくれることを望まずにはいられません。