【2022年2月25日追記】日本政府は全ての国と地域から入国する帰国者・入国者に求めている自宅または宿泊施設での待機期間を、条件付きで7日間から3日間へ短縮する措置を発表しました。新型コロナウィルス・オミクロン株の感染が支配的になっている国と地域からの帰国者・入国者が対象になります。
目次
日本帰国後の待機(自己隔離)期間中の必須アプリ「MySOS」とは?
現在、日本の水際対策として、諸外国から日本へ帰国する際には、帰国・入国した翌日から自宅や宿泊施設など所定の待機場所で、外出や他者との接触を避けて待機(自己隔離)する必要があります。到着空港では抗原検査を始めとする様々な手続きを経なければなりませんが、入国審査を終え帰宅した後もずっと帰国者・入国者の行動を監視するアプリがこのMySOSになります。待機中毎日付き合わなければならないこのアプリについての詳細を解説します。
MySOSアプリの概要について
正式名称は「入国者健康居所確認アプリ」と言います。厚生労働省検疫所が管轄する「入国者健康確認センター」が管理・運営しています。このアプリは入国者の位置情報・健康状態・居所の確認を待機中毎日センターへ報告するためのアプリです。本来、MySOSは健康・医療記録を行うためのアプリとして一般向けに配信されていますが、帰国者・入国者に対してはアプリの機能を一時的に制限して、健康居所確認アプリとして利用します。専用のQRコードを読み込むことにより、「入国者健康確認センターモード」となり、健康居所確認専用の機能となります。
アプリの不具合などの問い合わせについて
MySOSアプリの不具合などについて、当サイトへお問い合わせをいただくケースが非常に増えてきました。MySOSアプリは厚生労働省・検疫所が管轄する「入国者健康確認センター」が運営しています。不具合などが発生した場合は、直接センターへお問い合わせください。
- ホームページアドレス:https://www.hco.mhlw.go.jp/
- 連絡先電話番号: 03-6757-1038 (日本語及び英語での対応)
- 営業時間: 09:00~18:00
- よくある質問専用サイト:https://www.hco.mhlw.go.jp/faq/jp.php
- 問い合わせメールアドレス:followup@hco.mhlw.go.jp
本来のMySOSアプリは自身や家族の健康・医療記録を行い、救急時などのいざという時にスムーズな対応をサポートするアプリですが、専用QRコードを読み込むことにより、入国者健康確認センターモード(専用モード)に切り替わります。到着空港でアプリが正しくインストールされているかどうかの確認があり、帰宅後に待機場所登録を行った段階で、下図のように待機場所が登録されます。
MySOSアプリの3つの報告内容
以下の3つの報告は任意では無く、いずれも毎日必ず実行しなければならない必須の報告となります。監視されることに慣れていない日本人にとっては、時間の指定も無く不定期にやって来るこの報告作業は、相当なストレスになるはずです。気になりだすと、おちおちトイレに行くこともためらわれるような苦痛が待っています。
1.現在地報告
現在地報告は1日あたり2回センターより通知が届きます。通知が来たら画面一番左の「現在地報告」のタブをクリックし、「登録する」のボタンを押せば手続きは終了します。通知が来る時間帯は毎日変わり、予測できないようになっています。傾向的には午前中1回、午後1回の頻度です。
2.健康状態報告
健康状態報告は1日1回午前11時~午後2時までの間に行います。事前通知は来ますが、この時間帯の間なら通知前に自主的に報告を行っても支障はありません。発熱や風邪(コロナ)に類する症状が出ていないかどうかの質問2項目に答えて発信します。この報告だけが、決まった時間帯に行える唯一のものとなります。
3.AI自動ビデオ通話
MySOSアプリで一番厄介なのが、このAI自動ビデオ通話になります。このビデオ通話で位置情報を取得し、居所確認を行います。こちらも時間の指定が無く、センターから突然通知が入るため、気が抜けません。当初、センターのオペレーターと会話形式でやり取りがあるものだと思っていましたが、そうでは無く、完全にAI仕様の自動ビデオ通話形式になっています。通知が来たら、30秒間ひたすら自身の顔を画面にさらして報告する形式で、30秒経過したら自動的に通信は切れます。当然、背景が繁華街や屋外・会社・学校など待機場所以外の場所だったとしたら、ルール違反になりますからセンターから何らかの「警告」が来るはずですが、どのような罰則があるのかは筆者には分かりません。とにかく、いつ何時通知が来るか分からない、このビデオ通話が待機中の一番のストレス要因となることは事実です。
通知時間帯一覧
入国者健康確認センターから通知が来た時間を日別にまとめてみました。通知が来る時間帯はまったくの不定期ですが、他のアプリ経験者の話を聞いてみても、センターから通知が来る時間帯は午前8時から午後6時30分までの間にほぼ集約されています。多分この時間帯がセンターが稼働している時間帯なのでしょう(あくまでも推測です)。一つの目安として参照してください。
日時 | 現在地報告1回目 | 現在地報告2回目 | 自動ビデオ通話 |
1日目(帰国翌日) | 通知なし | 通知なし | 18:31 |
2日目(火) | 9:09 | 13:08 | 14:47 |
3日目(水) | 11:07 | 16:07 | 12:47 |
4日目(木) | 10:06 | 14:10 | 13:00 |
5日目(金) | 12:05 | 17:05 | 12:45 |
6日目(土) | 10:06 | 13:06 | 12:03 |
7日目(日) | 10:05 | 15:05 | 11:42 |
8日目(月) | 11:04 | 15:04 | 11:50 |
9日目(火) | 10:04 | 13:04 | 11:14 |
10日目(水) | 12:04 | 14:04 | 11:03 |
11日目(木) | 11:04 | 14:04 | 10:32 |
12日目(金) | 8:04 | 16:03 | 10:12 |
13日目(土) | 10:03 | 15:05 | 10:19 |
14日目(日) | 12:03 | 16:03 | 9:36 |
MySOSアプリとの上手な付き合い方
このアプリを使った報告作業を無視して、報告を怠り、懲罰的に実名が公表された帰国者が少なからず存在します。しかし、実名はアルファベット表記で公表されるので、公表された本人にとってはあまり深刻な影響は無いのかもしれません。でも、社会的に後ろ指を指されないためにも、14日間毎日の報告はしっかり行いたいものです。少なくとも午前8時から午後6時30分までは、じっと通知が来るのを待つ以外方法がありませんが、複数の帰国者からの報告を聞いてみても1日2回の現在地報告と1回のビデオ通話そして定時に報告可能な健康状態報告以外に追加で通知が来ることは無さそうです。最初の頃は仕組みに慣れなくて、1日中スマートフォンの画面とにらめっこする状態が続きますが、このルーティーンが理解できれば、対処は楽になるはずですし、安心してトイレに行くこともできるようになります。
また、このアプリに一つ抜け道があるとすれば、午前8時以前と午後6時半以降はほぼノーマークになる(らしい)と言うことです。健康状態報告の注意書きの中に「不要不急の外出を控え、やむを得ず外出する場合には、マスクを着用し、公共交通機関を使わないでください」との文言があることを拡大解釈すれば、報告通知が来ない時間帯(午前8時以前や午後6時半以降)に近所の公園をジョギングやウォーキングしたり、犬の散歩に出るぐらいは、他者との接触を避け一人で行動する限り、許容範囲だと解釈することもできます。当然、夜間に夜の街を徘徊するなどは、もってのほかの非常識な行動ですが・・・。
帰国者が14日間一歩も家から出ずに過ごすと言うことは、健康面から考えても非常に不健全なことです。適度な運動をして体調を維持しながら、14日間をそつなく過ごすことで、待機明けからまたバリバリと仕事に学業に励むことができるのではないでしょうか。
いずれにせよ、監視されることに慣れていない日本人にとって、このシステムは非常にストレスとなることだけは間違いのない事実です。慣れないながらも、上手に付き合って14日間を乗り切りたいものです。
- アプリの仕様は予告なく変更になる場合があります。通知回数などは2021年9月現在の一つの目安としてご参照ください。
- 上記の「アプリとの付き合い方」はあくまでも私見であり、自宅や宿泊施設で待機する方に敢えてお勧めするものではありません。不要不急の外出などは、感染対策をしっかり講じた上で、自己責任の範囲で行っていただけますよう、お願いいたします。
14日間の自宅待機を終えて
14日間の自宅待機を終えた翌朝に、入国者健康確認センターから連携解除の通知が届きます。長く苦しかった隔離生活もようやく終了です。MySOSの画面も専用モードから通常モードに切り替わりました。TwitterなどのSNS上では、このアプリを裏をかいた「抜け道」が色々と紹介されています。確かに、このアプリには盲点・欠点が見受けられ、例えばスマホを家に置いたまま外出して、現在地報告や健康状態報告は家人に代行してもらうなど、やろうと思えば出来てしまうこともあると実感しました。大して厳しい罰則もない日本の法律下では、このアプリとの付き合い方は帰国者・入国者各自の「良識」に沿うしか方法がなさそうです。
ワクチン接種率の高まりと同時に、待機期間の短縮や、ワクチン接種完了者への待機免除の検討などが話題に上るようになってきました。ウィズコロナの時代に、今の日本の水際対策がどう変化してゆくのか、今後数カ月の間に徐々に答えが出てくるはずです。これから海外旅行や日本への帰国を検討している方は、今後の推移を見守りながら予定を立ててください。14日間の待機(隔離)は想像以上に苦痛だったと言うことが、今回の率直な感想です。今の日本の水際対策は、海外旅行再開へ向けては、非常に高いハードルだと実感した14日間でした。