【2022年8月19日追記】日本の水際対策が緩和されるに従い、帰国時の空港検疫もだいぶ簡素化されつつあります。2022年8月現在の空港検疫の状況は、下記別記事をご参照ください。
目次
海外から羽田国際空港へ到着時の空港検疫手続きの流れと所要時間について
留学・ビジネス・バケーション・里帰りと海外からの帰国目的も様々ですが、コロナ過の今、諸外国から羽田空港へ到着した際の検疫審査は、とても煩雑で面倒なものになっています。飛行機を降りてから外へ出るまでに行う手続きは、厚生労働省・検疫所が管轄する「空港検疫」がその大部分を占めます。その概要をお伝えします。
決してザルではない日本の水際対策
コロナ前は、飛行機を降りたら検疫審査⇒入国審査⇒税関審査を経て、日本国籍や再入国許可証を持つ渡航者は比較的短時間でスムーズに外へ出ることができました。しかし、コロナ過の現在は検疫審査エリアが大幅に拡張され、膨大な時間と手間と人数をかけて入国者(帰国者)の検疫審査を行っています。検疫審査を受けるにあたって必要な書類は数種類あり、ある程度は事前の準備が必要です。手続きに必要な書類とインストールが必要なアプリについては以下をご参照ください。なお、特定の国・地域からの帰国者は検疫所が確保する宿泊施設で、入国後3日もしくは6日間の待機が必要になります。検疫係官の指示に従って、手続きを進めてください。(厚生労働省が定める宿泊所待機該当国一覧はこちら)
必要書類一覧
- 「誓約書」・・・帰国便の機内で配られます。誓約書の詳細はこちらを参照してください。誓約書には日本国内で連絡を取ることができるメールアドレスと電話番号を記入する欄があります。検疫審査の途中段階で、報告したメールアドレスと電話番号に間違いがないかどうかの通信テストが申請者の面前で行われますので、正確な記入が求められます。
- 「健康カード」・・・カードとありますが、1枚のA4用紙になります。この健康カードは検疫審査の最初から入国審査を終えて帰宅するまで、ずっと手許に残る書類になります。審査過程で行われる唾液による抗原検査の結果もこの健康カードに添付されます。健康カードのサンプルはこちらを参照してください。
- 「PCR検査証明書(陰性証明書)」・・・帰国便搭乗前72時間以内に取得した、厚労省指定の検査証明書を用意してください。この書類は審査過程の比較的早い段階で、係官により回収されます。検査証明書の概要はこちらを参照してください。
- 「質問票」・・・WEB上で回答する形式になります。入国者情報⇒日本滞在情報⇒流行地域滞在情報⇒体調情報⇒フォローアップの順で質問に答えて行き、質問の最後にQRコードが表示されます。QRコードは係官の求めに応じすぐに提示できるように、スクリーンショットなどで保管しておくことをお勧めします。URLなどの概要はこちら。
- 「専用アプリのインストール①」・・・入国者健康居所確認アプリ「MySOS」のインストール。空港到着時に氏名とパスポート番号・生年月日を入力して、まずは登録者情報の登録を完了させます。審査過程で自身のスマートフォンにこのアプリが確実にインストールされているかどうかのチェックがあります。インストール手順はこちら。
- 「専用アプリのインストール②」・・・「COCOA」のインストール。新型コロナウィルス感染症の感染者と接触した可能性について通知を受け取ることのできるアプリです。iPhoneはAppストアから、AndroidはPlayストアから「COCOA」を検索し、事前にアプリをダウンロードしてください。
飛行機を降りてからの手続きの流れ
羽田空港到着の場合の、検疫審査の流れを解説します。現在、国際線ターミナル出発ゲート140番から149番までの全てのゲートを、検疫審査専用特設エリアとして使用しています。帰国者(入国者)はかなり長い導線を巡って検疫審査を受けることになります。
飛行機を降りてからの最初の関門
検疫審査はその始まりから行列です。到着便が集中する午後の時間帯はかなり長い列になる場合もあり、三密回避の観点からはあまり好ましい光景ではありません。検疫審査場が混みあう場合は、到着した機内でしばらくの間待機を要請されるケースもあります。
最初のチェックポイントで必要な書類は4点
まずは最初のチェックポイントで、パスポートと搭乗券・PCR陰性証明書・健康カードの提示を求められます。搭乗券はどの国や地域の、どの空港から帰国(入国)したかを確認するものです。無くさないように注意してください。
この第一次チェックポイントで、4点の必要書類が揃っているかを確認のうえ、係官により陰性証明書の原本は回収されます。そして次のゲートへ進みます。
二重・三重に繰り返される書類のチェック
ここから、①誓約書や健康カードの記載内容が正しく記入されているか、②所定のアプリが正しくインストールされているか、③質問票のQRコードが表記されているか、などの確認作業が続きます。誓約書に記入したメールアドレスと電話番号が正しいかどうかの通信テストが申請者の面前で行われますので、スマートフォンを手許に用意してメールと電話の着信を確認のうえ、係官に提示してください。かなり細かいチェック項目があり、所定のアプリが正しくインストールされて、正しく作動するかどうかを係官が一人一人チェックしてゆきます。スマートフォンの操作に不慣れな年配者などに対しても、係官が懇切丁寧な説明を行います。この辺りはひたすら順番を待つために行列に並ぶ時間が続きます。待つ時間が長いため、車椅子利用の障がい者の方や小さな子供連れの方には辛いところですが、残念ながら優先レーンはありませんでした。また、トイレの場所もかなり限定されています。余裕を持って列に並んでください。
書類と必須アプリのチェックが完了し、抗原検査へ
誓約書の記載内容の確認とアプリの作動確認が終了すると、係官により誓約書は回収され、ようやく抗原検査ブースへと進むことができます。
時間短縮のため、空港で受ける検査は唾液による抗原検査になります。係官より受付番号が添付された容器を渡されますので、写真の指示に従い、検体を提出し結果を待ちます。
検査結果の通知
検体提出後は148・149番ゲートで検査結果が出るまで、数十分間じっと待ちます。待ち時間はその日の検体数の多寡により、前後します。検査結果が出ると、係官から一人ずつ受付番号による呼び出しがあります。番号を呼ばれたら、係官から結果を聞いてください。ここで「陰性」判定が出ると、「健康カード」に陰性(ー)を証明するシールが添付されます。(「陽性(+)」判定の場合、どのような処遇が待っているのかは筆者には分かりません。)
検疫審査が完了し、入国審査と税関審査へ
これでようやく人に対する検疫審査は完了しました。(動植物検疫は税関審査の前になります)帰国者(入国者)はパスポートと健康カードを持って、入国審査へ進みます。入国審査後、ターンテーブルで機内預け荷物(スーツケースなど)をピックアップして、税関審査を通過すれば、晴れて外へ出ることができます。特段の事情が無い限り、入国審査と税関審査は短時間で通過することができます。
飛行機を降りてから外へ出るまでの所要時間
筆者の場合、飛行機を降りてから外へ出るまでの所要時間は約2時間でした。到着便が集中して、混みあう時間帯だとそれ以上の時間がかかります。
帰国者(入国者)は公共交通機関を利用して家に帰ることができないため、出迎えの車を用意するケースも有りますが、飛行機が到着してから外へ出るまでには、2時間以上の時間が必要だと言うことを念頭に置いて手配をする必要があります。
この日本の水際対策(検疫審査)が簡素化されるまでには、まだ相当長い時間を要しそうです。条件付きであれ、ワクチン接種が進む欧米以外の東南アジア諸国や中国・中東・南米・アフリカ諸国からの外国人の日本入国を政府が正式に認めるには、国民のワクチン接種率が80%を越え、変異株の性質が特定され、国内での感染拡大がある程度収束し、重症者数の減少と共に効果的な経口治療薬が広く出回り、国内世論が落ち着いていることが前提となります。外国人の日本入国を認めることも、日本人が海外から帰国(入国)することも、水際対策上は同等の扱いとなるはずです。
ウィズコロナ時代の海外旅行で一番高いハードルは、帰国後7日間の待機も含めたこの日本の水際対策にありますが、今しばらくはこのままのシステムで我慢する以外に方法は無さそうです。