ウィズコロナ時代の旅について考えるミッドパックの旅行情報サイトです。ワクチン接種が進むEU(欧州連合)加盟諸国では、EU域内を自由に移動できる証明書としての「ワクチンパスポート」の運用が本格化してきました。加盟各国で発行されたワクチン接種証明書をEU共通のデジタルプラットフォーム「EUゲートウェイ」へ連動し、EU全域で有効な「ワクチンパスポート」として活用する動きが進んでいます。
目次
デジタルプラットフォーム「EUゲートウェイ」とは
EU加盟諸国がその国ごとに発行する電子化されたワクチン接種証明書は「EUデジタルCOVID証明書」と称され、氏名や生年月日など必要最低限の個人情報と証明内容(ワクチン接種履歴・回復履歴など)、病院・医療当局などの発行機関情報をデジタル化し、QRコードとして管理するシステムです。この各国が発行する「デジタルCOVID証明書」を一元的に管理・認証するシステムが「EUゲートウェイ」となります。移動先のEU加盟国当局がこのQRコードを読み取ることで、「EUゲートウェイ」を通じて発行元加盟国のデータベースに接続し、電子認証を行うことができるようになります。EU加盟27カ国とEEA(欧州経済領域)に参加するアイスランド・リヒテンシュタイン・ノルウェーがこのシステムの運用により、自主隔離を免除されEU域内を自由に移動することができるようになります。
しかし、一部の加盟国は感染力の強いデルタ株のまん延拡大を警戒して、渡航再開に消極的な態度を示しています。ドイツは感染が拡大しているポルトガルからの入国を制限すると警告しています。
EU諸国のデジタル化進捗状況
「EUゲートウェイ」は7月1日より本格運用が開始されました。EU域内各国の水際対策の対応状況をお知らせします。(以下はEU加盟国国籍者およびシェンゲン協定適用国国籍者が対象となります。日本人を含む外国籍者は扱いが異なりますので、ご注意ください。)
1.フランス
接種証明書発行状況 | バーコード付き紙ベースの接種証明書が主体。フランス独自のシステム(衛生パス)が稼働開始。 |
域内他国との共通化の動き | フランス独自のシステム(衛生パス)を「EUゲートウェイ」に接続済。 |
緩和条件 | ワクチン接種証明書の所持者は入国時の検査、自主隔離(7日間)、陰性証明書の提示を免除。 |
国内活動緩和状況 | 入場者1,000人を超える劇場・会議場・コンサート会場・スタジアムなどは、衛生パスの提示により、入場が可能に。 |
2.ドイツ
接種証明書発行状況 | アプリで発行される。(Corona-Warn-AppまたはCovPass-App) QRコードが記載されている紙ベースの証明書も取得および使用が可能。 |
域内他国との共通化の動き | ドイツ独自のシステムを「EUゲートウェイ」に接続済。 |
緩和条件 | ワクチン接種証明書の所持者は入国時の検査、自主隔離(7日間)、陰性証明書の提示は不要。 |
国内活動緩和状況 | ワクチン接種証明書または回復証明書の所持者は、小売店や理美容院等の利用時の陰性証明書提示義務を免除。夜間外出制限や私的な集まりの人数制限なども免除。 |
3.イタリア
接種証明書発行状況 | アプリによるデジタルツールのダウンロードによる。 |
域内他国との共通化の動き | イタリア独自のシステム(COVID-19グリーン証明書)を「EUゲートウェイ」に接続済。 |
緩和条件 | EU加盟国、欧州自由貿易連合、アンドラ、モナコ公国、イスラエル、日本、米国、カナダからの入国の場合、ワクチン接種証明書所持者の自己隔離を免除。 |
国内活動緩和状況 | COVID-19グリーン証明書を国内の公開イベント(フェス、コンサート、スポーツ大会、宗教・儀式上の祝祭事など)への参加条件にすることを検討中。 |
4.スペイン
接種証明書発行状況 | 各自治州の保健当局が発行。デジタルQRコードでの発行だが、紙・PDF形式でも発行可能。 |
域内他国との共通化の動き | スペイン独自のシステムを「EUゲートウェイ」に接続済。 |
緩和条件 | 安全国以外からの観光・商用目的の訪問客も14日以上前に接種完了したことを示すワクチン接種証明書を所持していれば、入国が認められる。 |
国内活動緩和状況 | 現在、接種証明書と活動制限緩和は紐づけられていない。 |
5.スイス(シェンゲン協定加盟国)
接種証明書発行状況 | 電子媒体と紙媒体の両建てで発行可能。 |
域内他国との共通化の動き | スイスのコロナ証明書がEUによる承認を受けるための手続きを開始。7月1日以降6週間の移行期間中においては、EU及びEFTA(欧州自由貿易連合)域内で追加的な証明形式が認められる可能性が高いため、渡航者は渡航に先立ち各国における正確な入国条件を確認することが求められる。 |
緩和条件 | ①シェンゲン協定加盟国からスイスへ入国する渡航者に対する検疫義務が廃止 ②スイス入国の際の新型コロナウィルス陰性証明書取得義務は、空路で入国する渡航者に限定され、かつ、ワクチン接種完了者・回復者は対象外 ③第三国からスイスへ入国するワクチン接種完了者で、接種証明書所持者は入国制限が緩和され、査証免除によるスイス入国が再開される |
国内活動緩和状況 | スイス政府は国際空港などの施設や大規模イベント会場・ディスコなどでの接種証明書の提示を必須とする。レストランやレジャー施設、病院など日常的に使われる施設では提示を必須としない予定。また、職場では提示を求めることを明確に禁止している。 |
6.英国 (EU非加盟国)
接種証明書発行状況 | ワクチン接種完了後、2週間以上経過した住民はアプリもしくは紙媒体で取得可能 |
域内他国との共通化の動き | 相互承認に向け、他国や国際機関と協議中。 |
緩和条件 | 検討中(現在入国の条件としている72時間以内の陰性証明書の代わりとして利用する予定) |
国内活動緩和状況 | 検討中(劇場・ナイトクラブ・大規模イベントなどへの入場時の活用を検討) |
7.ロシア
情報なし
ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)のデジタル化が世界基準になる
ワクチンパスポートは隔離措置の免除や陰性証明書取得の手間を省く、ウィズコロナの時代における海外渡航時の必須条件になってきました。ワクチン接種が進む欧州諸国の例を見る通り、国際的にも国内的にもデジタル接種証明書を活用する方向に進んでいます。日本では7月26日からようやく「紙ベース」のワクチン接種証明書が発行される運びとなりました。今後、海外諸国との相互連携を考えればワクチン接種証明書のデジタル化は必須になってきます。日本政府と厚生労働省の一日も早い対応を望むばかりです。