デジタル庁は、新型コロナワクチン接種証明書を取得できるアプリを公開することを発表しました。2021年12月20日以降、App Store及びGoolge Playを通しアプリの提供が開始されます。今まで「紙ベース」で市区町村より発行されていたワクチン接種証明書は、電子証明書として二次元コード(QRコード)化されます。アプリインストールのための情報(URLとQRコード)はこちらを参照してください。
発足したての制度のため、デジタル庁でも混乱が生じている様子です。特に、マイナンバーカードに旧姓併記がある場合は、接種証明書が発行できないなどの不具合が生じています。デジタル庁では、近日中に訂正する予定だとコメントしています。デジタル庁が発表したワクチン接種証明書に関するFAQ集はこちらを参照してください。
目次
新型コロナワクチン接種証明書とは
新型コロナワクチン接種証明書とは、日本の予防接種法に基づいて実施された新型コロナワクチン接種の事実を「公的」に証明するものです。証明する内容として、氏名・生年月日・接種記録(ワクチンの種類、接種年月日、ロット番号など)が記載されます。これに加えて、海外用ではパスポート番号と国籍が記載されます。厚生労働省が発表するワクチン接種証明書の概要については、こちらを参照してください。
ワクチン接種証明書の種類
「海外用」と「日本国内用」の2通りの新型コロナワクチン接種証明書を取得できます。
ワクチン接種証明書を取得する際に必要なもの
本人確認用の必須条件として、マイナンバーカードを用意する必要があります。マイナンバーカードにはVRS(ワクチン接種記録システム)に登録された接種者情報と接種記録情報が格納されています。ワクチン接種証明書の「偽造」を防止する意味からも、マイナンバーカードに紐づいたVRS情報がワクチン接種証明書の発行には欠かせない情報になります。また、海外用の接種証明書を取得するためには、パスポート情報が必要になります。パスポートの期限が切れていたり、未取得の場合は海外用の接種証明書を取得することができません。
なお、アプリを通じて接種証明書を取得する際には、マイナンバーカードを読み取ることのできる「NFC Type B」に対応したスマートフォンが必要になります。動作環境は、iOSが13.7以上、Androidは8.0以上のバージョンになります。
ワクチン接種証明書の二次元コード(QRコード)に含まれる情報
- 氏名
- 生年月日
- ワクチンの種類(ファイザー・モデルナなど)
- ワクチンのメーカー名・製品名(コミナティなど)
- ワクチンの最終接種日及び接種年月日
- ワクチンのロット番号(製造番号)
- 電子署名
- 接種制度の所管者(=厚生労働省)(MHLW_Gov_of_Japan)と表記
- 二次元コード発行者(国内用のみ)
- ワクチン接種回数・ワクチン接種国(海外用のみ)
- 証明書発行国及び証明書ID(海外用のみ)
ワクチン接種証明書の二次元コードの規格について
日本の接種証明書では、ICAO VDS-NCとSMART Health Cardsという2つの規格を採用しています。健康状態に関する証明書のデジタル化については、証明書に記載する二次元コード等の規格として、ICAO(国際民間航空機関)が推奨し、日本が海外渡航用のワクチン接種証明書に採用したICAO VDS-NC規格のほか、EUを中心に採用されているEU DCC規格などがあります。円滑な出入国手続きのためには、異なるデジタル規格で発行された証明書が相互に利用できる環境を整えることが重要ですが、両規格の相互運用性の確保については、EUとICAOが現在協議中です。
1. ICAO VDS-NCとSHC(海外用規格)
ICAO(国際民間航空機関)が策定したIC旅券(パスポート)等の渡航書類の国際規格をICAO-VDS規格と呼びます。ICAOでは、健康証明書用の規格として、2021年5月に「VDS-NC(Version 1.1)」を策定しました。今回、日本政府は海外渡航用の証明書規格として、このVDS-NC規格を採用しました。現在海外では、外国人が入国する際の条件として、①ワクチン接種証明書の提示、②所定の期間内に取得したコロナウィルス陰性証明書の提示がほぼ必須条件になっています。スマホで表記されるQRコードが入国審査時に有効なのか、「紙ベース」の接種証明書しか認められないのかは各国により対応が異なります。今後、外務省から徐々に各国の見解が示されるはずですが、海外渡航を予定している方は、「紙ベース」の接種証明書も念のため所持しておいた方が安心です。ICAO VDS-NC方式のQRコードは、まだ世界中で万能な規格とは言い切れません。外務省の発出するワクチン接種証明書に関しての情報はこちらを参照してください。
SHCは日本国内用規格のSMART HEALTH CARDSの略です。海外用規格で接種証明書を申請すると、海外用・国内用2種類のQRコードを取得することができます。
2. SMART Health Cards (日本国内用規格)
この規格は、パスポート情報の入力が必ずしも必須ではない点に特徴があり、必要な際に必要最低限の情報を共有可能にするために設計されています。主に国内施設向けの接種証明書としての活用が見込まれます。米国ハワイ州やカリフォルニア州など複数の州がデジタル接種証明書として採用しています。ただ、現状ではEUデジタルCOVID証明書のように国際的には標準化されていないため、あくまでも日本国内での利用を想定しているはずです。利用目的としては、飲食店・映画館・コンサート会場・テーマパーク・イベント会場・野球やサッカーなどのスタジアム入場の際のワクチン接種履歴の確認用に用いられる可能性が高いと思われます。
マイナンバーカードを所持していない場合のワクチン接種証明書取得方法
マイナンバーカードを所持していないため、アプリを利用することができない場合は「紙ベース」の接種証明書を取得することが可能です。2021年12月1日付で、市区町村が発行する「紙ベース」の接種証明書のフォーマットが改定されました。12月20日以降はQRコード付きの接種証明書を発行することが可能になります。紙ベースのQRコード付きの接種証明書を所持することにより、海外や国内でQRコードの提示を求められた場合でも対応することが出来るようになります。なお、その際には本人確認のために免許証・健康保険証・パスポートなどの「身分証明書」の提示を求められる可能性が高くなりますので、ご注意ください。ワクチン接種証明書の取得方法についてはこちらを参照してください。