ウィズコロナ時代の海外旅行、安心安全な海外旅行はいつから可能か?
コロナ渦に見舞われた昨年3月以来、18カ月間ぶりの海外旅行の行き先は、日本人に対して世界でも最速で隔離措置なしの入国を認めたハワイになりました。来年秋実施予定の大型団体の下見と、コロナ過の1年半の間にハワイの観光産業がどう変化したのかを、確認するための渡航でした。
ホノルル滞在3日目で事前のアポイント(複数のホテルや観光業界の人達との打合せ)は全て完了し、ハワイの「今」を体感することができました。一部の飲食店は廃業し、カラカウア通りにあったTギャレリア(免税店)も撤退してしまいましたが、ハワイの本質は全く変わっていません。青い海、青い空、ハワイ特有の空気、ハワイの人達のホスピタリティ、それらは不変です。
感染拡大が止まらないハワイ州では、州知事が事実上の渡航中止勧告を出しており、8月中旬以降アメリカ本土からの観光客もかなり減り始めました。ショッピングモールやビーチもだいぶ人が減ってきている印象です。オアフ島でも、感染対策上のルールがますます厳しくなってきており、9月13日以降の60日間は、ワクチン接種証明書が無いとレストランや劇場への入店もできなくなります。逆に言えば、感染対策がしっかりと講じられると言うことです。また、市中でのマスク着用に対する意識は、相当高いものがあります。(ビーチは例外ですが・・・。)現在でも、ABCマートやスーパーマーケット、ホテルやフードコート・レストラン・バーも含めた屋内施設では、マスクをしていない人は入場を拒否されます。これは、お客さん同士の無防備な接触を防ぐと言うよりも、そこで働く従業員の安全を守る意識が高いためです。
経済が先か、人命が先か。これは観光産業で成り立つハワイでも同じ課題を抱えており、州知事は大きな岐路に立たされています。ハワイ州では予約が無くても、その辺のドラッグストアで無料でワクチン接種を受けることが出来ますが、それでも州内の接種率は60%台に留まっています。4割近い島民は、いまだにワクチン接種を拒んでいる状況です。これでは感染拡大が止まらない訳ですね。これから2か月かけて、州知事とホノルル市長はこの問題を改善しようとしています。感染状況が大きく改善しないと、12月に実施予定のホノルルマラソンは中止になり、年末年始の繁忙期もロックダウンせざるを得なくなってしまいます。それだけはどうしても避けなければなりません。これから2か月間はまさに正念場です。
今回の渡航の一番の目的は、「安心・安全な海外旅行」はいつになったら可能になるのかを探ることでした。
判断基準の第一は、まずは日本帰国時の水際対策が緩和もしくは解除されることです。帰国後に14日間も自宅待機できる人はそんなに多くはありません。この日本の水際対策が解除されない限り、観光目的の海外旅行が活性化することはあり得ません。
第二は訪問先の国や地域がしっかりしたコロナ対策を行っていることです。一番気を付けたい事は、公共の場所や屋内施設でのマスク着用義務がしっかり行われているかどうかの確認です。特に飲食の場所は要注意です。マスクを外して会話をする空間が、キープディスタンスや十分な換気などで、しっかり感染対策されていることがとても重要になってきます。
第三に外務省の海外安全情報の注意勧告が「レベル3」から「レベル2」以下に下がるタイミングを待つことです。現在、ハワイを含めたアメリカ合衆国への渡航は、「レベル3」(渡航は止めてください・渡航中止勧告)となっています。外務省は、「渡航の中止を強く要請します」とかなり強い表現で渡航の中止を求めているため、今のところハワイへの渡航は安全ではないと判断できます。
安心安全な海外旅行のための行動原則は、次の3点に集約されます。
- 「三密の回避」混雑する場所へは行かない。キープディスタンス。密閉された空間で飲食をしない。外で遊ぶ。
- 「常時マスクの着用」マスクを外しての会話や行動を極力避ける。
- 「手洗い・うがいの励行」外から帰ったら、欠かさずに手洗い・うがいを習慣づける。
ワクチン接種を行うことにより、重症化は避けられることが分かってきた現在、感染対策の本質はこの3点に集約されるはずです。これは、今の日常生活における感染防御策と何ら変わりは有りません。感染リスクから身を守る方法は、国内でも海外でも基本は一緒のはずです。
ワクチン接種率の高まりと共に、日本国内でも今までの行動制限を緩和しようという動きが出てきました。多分、11月にはGoToトラベル再開の機運が高まるでしょう。帰国後の14日間自宅待機要請も、その待機期間が徐々に短縮されそうです。気の早い人は、ぼちぼち海外に目を向ける時期に差し掛かっています。しかし、現状では海外への旅行は「自己責任」の範囲で、リスクを承知の上で判断し、実施するより方法がなさそうです。
今回のハワイ渡航で感じたことは、「渡航者自身が感染対策をしっかりと行って慎重に行動すれば、海外旅行は決して怖くは無い」と言うことでした。もちろんリスクは非常に大きいです。でも、そのリスクを踏まえて物事を判断し、行動を起こすのは、やはり渡航者自身なのです。ちなみに筆者は今回コンドミニアム(ワイキキ・バニアン)に滞在し、3食自炊生活を送っております。やはり、米国人観光客に交じってレストランで食事するのは、感染リスクを考えると非常に怖いものがあります。マスクを外した状態での他者との接触をなるべく避けるべく、自炊とテイクアウトが中心の食生活になりました。ワイキキにはテイクアウト可能なレストランや店舗が数多くあるため、食事のバリエーションには事欠きません。費用も安く済みますし、バニアンのリビングルームでなら遠慮なく飲み食いできます。これも一つの感染対策です。
要は旅の「価値観」をどこに置くかで、ウィズコロナ時代の旅行が楽しいものになるか、つまらないものになるかが、決まってくるのだと思います。ハワイの「価値観」はレストランでの豪華な食事だけではないはずです。ハワイはいつでも旅人を癒してくれる包容力を秘めています。州内でのワクチン接種率が向上する(?)12月には、また米国本土から大勢の観光客がハワイを訪れることになりそうです。年末年始シーズンには、日本人や韓国人などの外国人も少なからずハワイを訪れるはずです。安全になるまで待ちきれない旅行者はけっこう多いのです。
具体的なホノルル滞在記は、後日改めてお送りします。それにしても、9月のホノルルは毎日良いお天気です。