ワクチンパスポート(ワクチン接種証明書)は、ウィズコロナ時代における海外渡航時の必須要件の一つになりそうです。
しかし、世界的な統一基準を作ろうという機運は一向に高まりません。EUのように域内で統一した基準を作ろうという動きがある一方、アメリカのように未接種者への不平等につながるという理由で、ワクチンパスポートの存在自体を否定する動きもあります。
実際のところアメリカでは、CDCが発行する接種カードを基に様々な基準の電子証明書が乱立している状態です。例を挙げると、「Clear Health Pass」「Common Pass」「VeriFLY」「IATA Travel Pass」「IBM Digital Health Pass」など多種多様なフォーマットがデジタル証明書として、アプリ化されています。飛行機に乗る場合はこれかこれ(航空会社によってアプリが異なる!)、野球場・競技場やコンサートホールへ入場する場合はこれ、ホテルへチェックインする際はこれなど、利用目的によって様々なアプリをインストールする必要があります。アメリカ人も相当混同していることでしょう。
ワクチンパスポートの一番の重要性は、その信憑性にあります。偽造証明書をいかに防ぐかに注力しなければなりません。ワクチン未接種者がモデルナの証明書を所持していたり、「シノバック」「シノファーム」接種者がファイザーの接種証明書を所持していたらパニックになってしまいます。世界的な統一基準の議論が盛り上がらない背景には、中国やロシアを交えた偽造防止システムを構築するのは不可能だと誰もが感じていることもあると思われます。
当面は国と国との信頼関係で、一つ一つ相手国のワクチン接種証明書を認証してゆくことになるのでしょう。ある意味「紙ベース」の証明書は、信憑性と権威性の観点からもある程度の期間残る可能性があります。
日本がインバウンドを復活させるためには、中国やロシアが発行するワクチン接種証明書を「信用」する必要があります。(「シノバック」「シノファーム」や「スプートニク」の有効性を「信用」する必要もあります)
日本政府がどう判断するのか、これからが見ものです。