香港政府は、2022年9月26日午前6時より、海外からの渡航者に課せられていた「義務的検疫措置」(指定検疫ホテルにおける隔離措置)を廃止する旨、発表しました。日本からの渡航者は、香港入境後にホテルで隔離待機する必要がなくなりました。香港入境に関する在香港日本国総領事館の発表資料はこちらを参照してください。
目次
香港の水際対策緩和について
日本人のビザなし渡航再開へ
香港政府は、2022年9月26日以降ビザ免除処置を再開します。日本国籍の渡航者は、ビザを取得することなく、香港へ入境することが可能になります。なお、観光などの短期滞在目的でビザなし入境する場合、日本国籍者のパスポートの残存有効期間は、滞在予定日数プラス1ヶ月となっています。
入境後の検疫措置が緩和へ
2022年9月26日以降、これまで必要だった入境後3日間の隔離ホテルにおける強制隔離措置が廃止になります。海外からの渡航者は、香港到着日の翌日から起算して3日間の「医学観察期間」を経た後に、行動制限が緩和されます。
医学観察期間
2022年12月14日追記:香港政府は、香港入境時の3日間の医学観察期間を撤廃する旨を発表しました。海外からの渡航者は、香港入境初日から自由にレストランや各施設への入場が可能になりました。
香港到着日の翌日から起算して3日間は、医学観察期間となります。期間中、外出は可能で公共交通機関の利用や日用品の買い出しも認められます。ただし、医学観察期間中は、香港政府が指定する「指定施設」への入場はできません。つまり、例えば3泊4日間の行程で香港へ観光旅行へ行ったとしても、香港の空気は吸えますが、レストランで食事をしたり、エステやマッサージ店でリフレッシュしたりすることはできません。「指定施設」の対象施設は以下を参照してください。
飲食店 | バー | サウナ | ゲームセンター |
ジム | 遊技場 | 屋内娯楽施設 | パーティルーム |
エステ・ネイルサロン | マッサージ店 | クラブハウス | ナイトクラブ |
カラオケ店 | 麻雀店 | 屋内スポーツ施設 | 水泳プール |
クルーズ船 | 屋内イベント施設 | 理美容店 | 宗教施設 |
高齢者施設 | 障害者施設 | 学校 | 指定医療施設等 |
- 日用品や食料品の購入に限り、スーパーマーケットやショッピングモールへの入場は許可されます。
- 3日間の医学観察期間が終了した後に、上記指定施設への入場が条件付きで可能になります。
- 指定施設に関する詳しい情報は、後述する「ワクチンパスの概要について」を参照してください。
- 入境後3日以内に、深圳・東莞などの中国本土やマカオに渡航することはできません。
自己観察期間
医学観察期間終了後、4日間の「自己観察期間」が始まります。1日2回の検温を実施してください。
医学観察期間および自己観察期間中の検査頻度について
- 入境日の翌日から起算して2日目、4日目および6日目に地区検査センター等でのPCR検査が義務付けられています。
- 入境日の翌日から起算して1日目から7日目まで毎日、各自で迅速抗原検査を行い、陰性であることを確認しなければなりません。この作業は毎朝行います。ホテルから外出する時も、まずは陰性であることを確認する必要があります。また、PCR検査受診日も、迅速抗原検査の結果が陰性であることを確認してから、検査会場に行く必要があります。抗原検査キットは香港国際空港到着時に係官から配布されます。検査キットと一緒に提供されるガイドラインに従ってテストを受ける必要があります。検査キットの結果が判明した直後に写真を撮り、保管しなければなりません。迅速抗原検査は3歳以上の全ての外国人が行う必要があります。
地区検査センターの概要
正式名称はコミュニティテスティングセンター(COMMUNITY TESTING CENTRES)および移動式検体採取ステーション(MOBILE SPECIMEN COLLECTION STATIONS)です。検査を受けるためにはオンラインで予約が必要になります。香港島・九龍半島・新界地区のいずれの地区にも複数の検査センターが設置されています。オンライン予約の予約サイトはこちらを参照してください。検査費用は無料です。検査の際には、パスポートの原本を提示する必要があります。検査結果は、後述するワクチンパス(LEAVE HOME SAFE)モバイルアプリと連携されます。全ては「検査登録コード」で紐づけられることになります。また、上記検査センター以外にも、政府が認定する民間検査機関が複数存在します。民間検査機関で検査を受ける際には、検査費用が生じます。(民間検査機関一覧はこちら)
ワクチン接種履歴について
香港へ入境するためには、ワクチン接種証明書を所持する必要があります。香港政府の規定では、①ワクチン接種を2回以上接種し ②2回目の接種日から14日以上経過していることを求めています。(一般的な日本国籍者の場合)ワクチンの種別としては、ファイザー・モデルナ・アストラゼネカなどのワクチンが有効とされています。香港政府が認めるワクチン種別一覧と必要接種回数に関しては、こちらの資料を参照してください。香港政府の資料によれば、ワクチン接種証明書は、英語または中国語による「ワクチン接種証明書」(様式は任意)と記載されています。日本のデジタル庁が発行する接種証明アプリが有効かどうかの記載は見当たりません。念のため、市区町村が発行する紙ベースの英文ワクチン接種証明書か接種証明アプリから取得可能なワクチン接種証明書をプリントアウトして所持することをお勧めします。接種証明アプリからダウンロード可能な接種証明書の取得方法については、こちらの資料を参照してください。
なお、12歳未満の子供に関しては、ワクチン接種要件は撤廃されました。ワクチン接種の有無にかかわらず香港へ入境することができます。
香港入境に必要な手続き
1.日本出発前の迅速抗原検査で陰性を確認する
日本出発前、48時間以内に検査したPCR検査陰性証明書の取得義務はなくなりました。代わりに日本出発前24時間以内に検査した「迅速抗原検査(RAPID ANTIGEN TEST=RAT法」で、陰性を確認する必要があります。なお、迅速抗原検査は「各自で実施したもの」もしくは医療機関で実施したもののいずれでも認められます。キャセイ航空に確認したところ、あくまでも「自己申告」なので所定の書式は無いとのことです。つまり、わざわざ検査機関や医療機関で高い金額を支払って英文の陰性証明書を取得する必要はありません。迅速抗原検査を自身で行った場合は、念のために、陰性判定が出た検査キットにローマ字表記の名前と検査日時を添えて(メモ書きで可)、一緒に写真を撮って保存することを在香港日本国領事館では奨励しています。
2.オンライン健康申告への登録
日本出発前にオンライン健康申告(ONLINE HEALTH DECLARATION FORM)に必要事項を記入して、航空会社でチェックイン手続きを済ませる前までに、WEB上で登録申請を完了させる要があります。英語版がありますが、日本語版はありません。申請フォームはこちらを参照してください。登録項目は、パスポート情報(氏名・性別・生年月日・パスポート番号)から始まり、出発便名・座席番号・香港到着日・旅行履歴・コロナ感染履歴・香港内で利用可能な携帯電話番号(SMSが受信可能な電話番号)・Eメールアドレスの登録など多岐に渡ります。必要事項を記入し、登録が完了するとグリーンのQRコードが発行されます。QRコードの有効期間は発行から96時間です。このQRコードは、出発空港でのチェックイン時と香港入境の際に必要になりますので、必ず自身のスマートフォンに保管するようにしてください。また、香港入境後は、ワクチンパスへ情報が引き継がれます。この健康申告は、検疫審査の上で非常に重要な手続きになります。
3.出入国カードの記入
機内で配られる出入国カードに必要事項を記入し、署名の上係官に提出してください。出入国カードの記入例はこちら。
香港到着後の手続きについて
香港国際空港へ到着後の流れは以下の通りです。
- オンライン健康申告で取得したQRコードのチェック。
- 専用検査ブースへ移動し、PCR検査を受診。
- PCR検査の結果を待たず、入境(入国)審査へ。
- スーツケースなどの手荷物をピックアップし、税関審査へ。
- 公共交通機関などを利用し宿泊ホテルへ移動。
- ウエブサイトから「暫定ワクチンパス」QRコード発行のための関連書類をダウンロード。
ウエブサイトのURLはこちら。事前に取得したQRコード情報の一部とパスポート番号を入力すると、必要書類がダウンロードされます。
ワクチンパスの概要について
「ワクチンパス」とは、香港住民が通常の日常生活を安全に再開できるようにしながら、より多くの人々がワクチン接種を励行することを目的とした香港政府の重要な感染症対策上の政策になります。政府が指定したほぼ全ての施設に入場もしくは滞在するためには、施設スタッフも含め政府が定めた予防接種要件に基づき、所定回数のワクチン接種を完了している必要があります。このワクチン接種履歴をアプリ上でQRコード化したシステムが「ワクチンパス」と総称されます。本来、ワクチンパスは香港住民用のシステムでしたが、外国人に対する水際対策の緩和政策に合わせ、インバウンド旅客向けに「暫定ワクチンパス」という概念を香港政府は設定しました。香港住民同様に外国人も飲食店やエステ・マッサージ店・クラブなどの施設に入場する際には、「暫定ワクチンパス」のQRコードを提示する必要があります。ただし、香港入境から3日間の「医療観察期間」は、特別措置として海外からの渡航者は前段で列挙した各施設に立ち入ることができません。香港住民を感染リスクから守るため、外国人渡航者に対して最初の3日間だけはワクチンパスの効力を意図的に失効させています。このためにせっかく香港へ旅行しても、最初の3日間はレストランにもマッサージ店やバー・クラブにも入れないと言う状況になります。ただし、日用品や食料品の購入に限り、スーパーマーケットやショッピングモールへの入場は許可されます。日本の水際対策も同様ですが、今後徐々にルールが緩和されてゆくことを願うしかありません。
*ワクチンパスのコード設定と立ち入り禁止施設についての解説はこちらを参照してください。